【  魔法少女こるね☆マギカ ―第6話―『奇跡なんて当たり前なのよ』  】


佳帆「時間を駆ける魔法少女、ですか?」

カコ「そうです。…でもまぁ、20年の間だけですけど…」

佳帆「うーん、なかなか信じられませんね。ここが2032年の見滝原だなんて」

カコ「それは本当です。でも、どうしてあたし以外の魔法少女までこの時間に?」

佳帆「私は魔女の攻撃で気を失ったみたいなのですが、目が覚めたらある人に介抱されていました…」

カコ「魔女…という事は20年以上前の時間ですねっ。ある人というのは一体…?」

佳帆「えっと、それは言えません…『他言はしないで欲しい』と念押しされてますから」

カコ「…?」 キョトン

佳帆「ごめんなさい…約束ですから、どうしても答える事は出来なくて…」  ションボリ

カコ「そう言うのなら、あたしも深入りはしませんけど…」

カコ「ところで、これからどうするつもりですか? 行く当てが無いのなら、あたしの家に泊まってきません?」

佳帆「だ、大丈夫ですから! そんなのカコさんにも悪いですし…」

カコ「助けてくれたお礼がしたいんですっ! お願いします!」  ペコリ

佳帆「頭まで下げなくても…そうですね。色々聞きたい事もあるので、やっぱりお願いしてもいいですか?」

カコ「はいっ、分かりました♪」 ニコッ

―――かこホーム


カコ「何もない所ですけど、ゆっくりしていって下さいっ!」

佳帆「…あの、カコさんは一人暮らしされてるんですか?」

カコ「えーと…一応一人暮らしですけど、よくお兄ちゃんとその奥さんが家まで来るんですよね」

佳帆「へぇ…兄夫婦ですか」

カコ「あ、そういえばお腹空いてませんか? あたしカップ麺しか作れませんけど…」

佳帆「お願いします!私今すごくお腹空いていて…」

カコ「了解ですっ! 今すぐ作りますねっ!」  トタトタ

佳帆「…ところで、2032年って、私の居た時間とどれぐらい違うんでしょうか?」

カコ「うーん、まず魔法少女の敵となるのは『魔女』ではなくて、『魔獣』と『魔物』というバケモノなんです」

カコ「そういえば…魔女って、魔法少女の成れの果てって事はもう知ってますよね?」

佳帆「…え?」 ピクッ

カコ「ソウルジェムが濁り切ると、魔法少女のソウルジェムはグリーフシードに変わって…って、佳帆さん?」

佳帆「わわわわ私っ!いっぱい魔女倒しちゃいましたよ!? これって友殺しっ!?いやぁぁぁっ!!」

カコ「落ち着いて!落ち着いて佳帆さんっ! グリーフシードさえあれば魔女は何度でも蘇りますから!」

佳帆「そ、そうなんですか?良かったぁ…」 ホッ

カコ「あ、カップ麺出来ましたよっ。シーフードとカレーどっちにしますか?」

佳帆「はい。シーフードで!」 キリッ

カコ「はい、おまちどおさま♪」  コト

佳帆「わぁ、久々のご飯な気がする…いただきます!」

カコ「いただきますっ。カップヌードルのカレーって容器が黄色くなるんですよね…」 モグモグ

佳帆「あー、それ分かります…」 モグモグ

―――


???「ぅぅ、お腹空いたよ…ここ一体どこなのかな…」  ヨロヨロ

???「もう…ダメ、限…かぃ…」  フラッ



???「おーきてー!」  ペシペシ

???「いたっ!?」 ビクッ
アシタ
???「こら朝太っ!女の人を叩いちゃダメでしょっ!?」

朝太「うー、ごめんね…」 シュン

???「え、えっと、誰…?」
リサ
???「あたしは理沙、こっちの子が朝太…って、そんな事はどうでもよくて!」

リサ(43歳)「お嬢ちゃんがあたしの家の前で倒れてたから介抱したんだけど、ももこちゃんソックリで…」

???「…? あたし、茂中ももこっていうんだけど…」

リサ「え、同姓同名?まさか同一人物…そういえば菫さんだって50過ぎても全然老けないし…」

ももこ「ど、どうしてお母さんの名前を知ってるの…?」

リサ「!? ど…どうしてって聞きたいのはこっちよ…こんなコトって…」  ウーン

ももこ「…う」 ヘタリ

リサ「! どうしたのよ、具合悪いの?」

ももこ「…おなか、すいた…」  グゥゥ

リサ「そっ、それじゃ簡単な物作るわね、ちょっと待って…」

ももこ「…ダメ、もう、眠く…」 ウトウト

リサ「ね、寝たらダメよ!? お願いだから!」  アタフタ

朝太「れーぞーこ、ちーずあるっ!」

ももこ「…チー、ズ…?」

リサ「す、スモークチーズじゃあお腹いっぱいにならないでしょ? 確か夕飯の残りは…」

ももこ「…チーズ、チーズが、食べたい…」

リサ「わ、分かったわ待ってて頂戴!」  タタタッ



ももこ「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもgげほ、んむっ、もぐもぐもぐもぐもぐっ!!!」 モグモグモグモグモグ

リサ「う、うわ…凄い勢い…」

朝太「ちーずおいしー♪」 モチモチ

ももこ「もぐぺろっ、ごちそうさまっ! おばさんありがとね!!」

リサ「おばさんじゃなくてリサ姉さんって呼んで欲しいわ…」

ももこ「あの、ここって一体どこなの? あたし何にも覚えてなくて…」

リサ「なるほどねー…それじゃ、よーく聞きなさいよ?」


―――――

―――夜、佐倉家


李々奈「さて、と…そろそろ魔獣が湧き出る頃だな」  スクッ

はるか「えっ…これからですの?」

李々奈「四六時中湧いてる魔物と違って、夜に現れ始める魔獣は一般人まで襲うんだぞ?」

李々奈「だからあたし達のような魔法少女が、ソイツ等の片付けをしなきゃいけねぇって訳さ」

はるか「た、大変ですのね…」

李々奈「あんたも魔法少女なんだろ?だったらあんたもやんなきゃなんねえだろ」

はるか「そ、そうでしたわ!私ったらそんな事も分からずに…」

梅次「リリ、気を付けてな?」

李々奈「分かってるっつーの。じゃー行ってくるよ!」  ダッ

はるか「ま、待ってくださいましーっ!」  タタッ

梅次「はるかさんも頑張れよー!」

―――夜の見滝原


李々奈「魔獣は自分の結界は持っちゃいない。が、魔物は結界に入り込んだ魔法少女を容赦なく殺しにかかってくる」

李々奈「逆に言えば、危害を加えない限りは魔物も大人しいヤツなんだよ」

はるか「なるほど…」 フムフム

李々奈「魔物は数日ぐらい放って置いても困らないが、魔獣はマメに潰さないとダメだ。大事な魔力の供給源だしな」

李々奈「魔獣を結界内に取り込んでる魔物とかも居るから、結局は魔物も倒さなきゃいけねぇってワケさ」

はるか「つまり、なんでも倒してしまえばいいのかしら?」

李々奈「まぁ要はそーゆー事だな…お、早速反応来たか。急ぐよッ!」  ヘンシンッ

はるか「了解ですわ!」  ヘンシンッ

―――魔獣の縄張


魔獣「ヨーチエンノwwwクガツゴウハwwwww」  ワラワラ

魔獣「タノシイフロクガwwwイッパイイッパイwwwwwww」  ウゾウゾ

李々奈「魔物の気配は無い…けど瘴気はかなり濃いな。気ぃ抜くなよッ!」  ザッ

はるか「…なんだかスイカバーみたいな槍ですのね」

李々奈「うっせぇ! これはランスっていう突進用の槍なんだっつーの!」

はるか「ふふっ、ごめんなさいね…それでは私はコレですのッ!」  ブォン

李々奈「…ハ、ハサミ?」

はるか「まだですわ、よッ!」  ジャキンッ!

李々奈「おー…ハサミが2つに分かれて剣っぽく…」

はるか「さぁ、行きますわよ李々奈さんッ!」  ダッ

李々奈「あたしのほうが多く狩ってやるぜッ!」  ダッ

―――QB星


クリームヒルト「魔法少女の、管理者…っ!?」

ワルプルギス「…ウフフッ、魔女を創り出した人間ですって?」

ウルリーケ「そう。それで…貴女達をどうするか、という質問の答えは『何もしない』」

ウルリーケ「ここに暫く居てくれればいい。貴方達の存在が、今の地球にとって障害になっているのよ」

クリームヒルト「な、何言ってるの…私達をこんな風に捕まえて、何もしないって…それに『障害』ってッ!」

ワルプルギス「…ワタシの質問にまだ答えてないわよ?」

クリームヒルト「あなたはどうしてそんな落ち着いてるのっ!」

ワルプルギス「彼女は『何もしない』って言ったじゃない。それに、嘘をついてるようには見えないでしょ?」

ウルリーケ「…彼女の言う通り、私の言葉に偽りは無いわ」

クリームヒルト「…信じた訳じゃ、ないからね…」 ジッ

ウルリーケ「…」

ウルリーケ「…ワルプルギスの夜。自分の本当の名前を覚えているかしら」

ワルプルギス「さぁ?知らないわ。ワタシが、どんな魔法少女だったかさえ覚えていないんだもの」

ウルリーケ「…なら、ここで教えてあげるわ」

 

                    ワルプルギス ナハト
ウルリーケ「舞台装置の魔女、【Walpurgis Nacht】。その性質は『無力』」

 

ウルリーケ「【絶対に、誰にも負けたくない】。そう願ったから、誰よりも強く此処に在る」


コルネーリア ヴルピウス
ウルリーケ「貴女の名は、【Cornelia・Vulpius】。私は『コーナ』と呼んでいたけれどね」

 

ウルリーケ「史上最強の魔法少女、そして始まりの『魔女』。それが貴女…【ワルプルギスの夜】よ」

ワルプルギス「…記憶に、無いわね」

ウルリーケ「当然よ。貴女の記憶には、この私が『鍵』を掛けたんだもの」

ウルリーケ「この指輪の数々は全て私のソウルジェム…私にとって、『奇跡』なんて当たり前なのよ」

クリームヒルト「っ! あなた、本当に何者なの…!?」

ウルリーケ「ずっと昔…およそ9世紀ほど前になるのかしら。それが私の全ての原点になるわ」


ウルリーケ「私の願いは【何でも出来る魔法使い】。誰でも憧れるような、そんな望み」


ウルリーケ「自らの手で『奇跡』を起こし、人類を駒のように扱う私は――きっと『史上最悪の魔法少女』でしょうね」


【  魔法少女こるね☆マギカ ―第7話―『こうやって人として生きているのに』 】


―――魔獣の縄張


魔獣「ボーンバーイェーwwwwwボンバイェwwwボンバーイェーwwwwwww」

李々奈「うら、よぉッ!!」  ギュンッ ズドォッ!

魔獣「」 グシャァ


魔獣「ショーwwwwwガッwwwwwカンwwwww」

はるか「はああぁぁっ!!」  ジョキィンッ!

魔獣「」 ズパッ


李々奈「へっ。結構やるじゃんか、緑の」

はるか「あら、李々奈さんも相当ですわよ」

李々奈「ははッ!あたしの実力はこんなモンじゃあねぇっつーの」

はるか「それなら私も、まだ本気ではありませんわ♪」 フフッ

―――


アーデルベルト「ふむ、見つけましたぞ」

アンソニー「では早速行きま――」

DB「やぁ、ちょっと待ってくれないかな」 シュタッ

アンソニー「? どなたでございますか…?」

アーデルベルト「むぅ、ワシも存じませんな」

DB「…やはりそういう反応をするだろうと思ったよ」

DB「私の名前はデュゥべえ。君達を見ているように言われたものでね」

DB「念の為に言っておくが、彼女らを殺すのは駄目だよ。大元の目的は『エネルギー回収』なんだからね」

DB「彼女らの感情を揺り動かすのが君達の役割だ。それを踏まえて行動してくれ」

アンソニー「はい。承知しております」

アーデルベルト「…さて、それでは参りますかな?」

DB「相手は魔法少女と魔女…ま、気をつける事だ」 デュップイ

―――


はるか「やっと片付きましたわね」

李々奈「やっべーな、もうすっかり夜だぞ」

はるか「あぁ、お腹空きましたわ…」

李々奈「あたしも早くメシ食いてぇよ。さ、帰――」


ヒュンッ


はるか「っ!」  ザッ スパッ!

李々奈「な、何だ?」

はるか「これは…ダーツでしょうか?」 ヒョイ

李々奈「ダーツ? 誰がこんな事を…」

はるか「薔薇の形をしていますけど…一体どこから――」


ブワァッ!


はるか「な、結界…ッ!? 李々奈さんは何処へ!?」

アンソニー「流石ですね、お嬢様」

はるか「!!」

アンソニー「ご友人の方についてはご安心下さい。別の結界に引き込ませて頂きましたから」

はるか「だ、誰ですの、あなたは!」

アンソニー「これはこれは、申し遅れました…」


トラナミ アズマ   マホウショウジョ
アンソニー「私めは【寅浪 梓麻】――『魔物』でございます」

梓麻(アンソニー)「ここでお嬢様と一戦を交え…ほんの少しでも世界を変える為に、ここへ参りました」

―――アーデルベルトの結界


李々奈「どうして結界が…まさか魔物か!?」

アーデルベルト「そうとも言えますし、違うとも言えますなぁ」

李々奈「あぁん? 何だよあんた、これはテメェの仕業か?」

アーデルベルト「如何にもその通り。ワシの所為ですぞ」

李々奈「ふざけやがって! それにワシだと?…今度は本格的にジジイ女って訳かよ」

李々奈「昼間の奴といい、今日は面倒なヤツばっかり湧きやがるな…あーウゼェ」

アーデルベルト「ふむ。これはお嬢様とは正反対の性格でございますな…」

李々奈「そのオジョーサマってのはさ、はるかの事だよな」

アーデルベルト「その通り。ワシはお嬢様の『使い魔』であるのだ」

李々奈「…使い魔だと? テメェ、一体誰の味方だ?」

                               カイエン
アーデルベルト「ふぉっふぉっふぉ…ワシの名前は【槐園 かなた】と言いましてなぁ」  トントン

李々奈(ステッキ? そいつが武器か…)

かなた(アーデルベルト)「新たなお嬢様のお申し付けにより――お主の力を試させて頂きますぞ!」 ダッ

李々奈「なんだか分かんねぇが、あたしは腹減っててイライラしてんだよ」  ジャキン

かなた「ほほう、槍とな?」

李々奈「そんなあたしの邪魔をするってんなら、誰であろうとブチのめすまでだッ!」  ギュンッ!

かなた「速い!?…だがしかし!」 ガッ

李々奈「なっ!?」 フラッ

かなた「足元がお留守ですぞ!」  ゲシッ

李々奈「ぐ、ぁぁっ!」  ズザァァ

かなた「力とスピード任せの突進…勢いだけではいけませんなぁ」

かなた「横から打ち払ってしまえば、簡単に転んでしまいますぞ?」 フォッフォッフォ

李々奈「うぜぇ…超ウゼェ」

李々奈「そんなにあたしにブッ潰されてぇのかよ、テメェはよぉ」  スクッ

かなた「何ですと?」

李々奈「ならもう、手加減なんて要らねぇだろ……ッ!!」  ブォンッ!

かなた「お…お主まさか、眩惑魔法の使い手!?」

李々奈「この人数なら、杖で槍を退けたりはできねぇだろ?」

李々奈「そんじゃ、覚悟は出来てるよなァ!」  ジャキン

かなた「なっ――」

 

李々奈「【ロッソ・ゲイボルグ】ッ!!」  ギュィィンッ!


ズッドォォォンッ!!

―――アンソニーの結界


はるか「世界を変える為?」
ソウルジェム
梓麻「そうでございます。お嬢様のお持ちしているものは、厳密に言えば【魂の宝石】ではございません」

はるか「!?」
フィールジェム                イーブルジェム
梓麻「お嬢様のそれは【感情の宝石】。そして私めの場合は【悪意の宝石】という物でございましてね」

梓麻「QB星の方々は感情の揺らぎをエネルギーに変換して、宇宙の延命をしているのですよ」

はるか「な、何の話をしていますの…?」

梓麻「結論から申しますと、『関わり合い』によってエネルギーを発生させているのです」

梓麻「そして魔法少女同士で争い、その感情を昂らせる事で…」  スッ

はるか「っ!」  ジャキン

梓麻「この世界を守ってゆくのですよッ!」  ビュンッ!

はるか「な、なんて数のダーツですの…くっ!」  ズバババッ

梓麻「甘いです、お嬢様」  シュッ

はるか「くぁぁっ!?」  ドスッ

梓麻「いくらベテラン魔法少女のお嬢様といえど、これほどのダーツを全て斬り落とす事は難しいでしょう?」

はるか「どうして…さっきから私の事を、『お嬢様』なんて呼びますの?」

梓麻「当然でございます。私めは、はるかお嬢様の『使い魔』なのですから」

はるか「え…?」

梓麻「お嬢様様は、過去に『魔女』となられたのですよ」

梓麻「魔女とは、魔法少女の成れの果て…そして、魔女となったはるか様に生み出されたのが私めなのです」

はるか「い、言っている意味が分かりませんわ…私は、こうやって『人』として生きているのに!」

梓麻「この世界は現在…魔女も使い魔も、『魔法少女』として生まれ変わったのです」

梓麻「…ここまでで宜しいでしょう。お嬢様を殺してしまってはエネルギーが回収できませんからね」

梓麻「いずれまた会う事になると思われますから、その時は覚悟しておいて下さい。お嬢様」  タッ


はるか「…こんなの、あんまりですわよ…」  ヘタリ

―――


かなた「むぐぅ…中々響きましたぞ…」 グッタリ

DB「見事にコテンパンにされてたね、大見栄張ってたのに」

かなた「申し訳ございませぬ…」

DB「まぁ、少しはエネルギーを抽出できた様子だから良いけど」

梓麻「かなた様、ご無事ですか!」 タタッ

かなた「梓麻か…ワシは何ともない、とも言えぬなぁ…足腰が痛んでおるわ」

DB「一応初仕事は無事に終わったようだね。そろそろQB星からの連絡が来る頃だと思うけど…」


???「待たせたわね。お勤めご苦労、と言った所かしら」

梓麻、かなた「!」

DB「君は…ウルリーケかい? どうしてそんなインキュベーターのような姿に…」

???「QBをモチーフにしているからよ。このボディならあまりコストが掛からないもの」
リスペクト インキュベーター
???「故に名前は『Respect・Incubator』…通称【リュゥべえ】ね」 リュップイ

RB「言うなれば分身よ。さて、貴女達には一度休憩を与えるわ」

かたな「ふむ…それはありがたいのじゃが」

梓麻「それはまた、どうしてですか?」

RB「――次に試したい子がいるから、よ」

【  魔法少女こるね☆マギカ ―第8話―『私にはその道を歩む事など出来ないの』  】


李々奈「おーい緑の! 無事かー?」

はるか「李々奈さん…ええ、まぁなんとか…」

李々奈「アイツとは別の奴にやられたんだな…ったく、何なんだったんだ?アレ」

はるか「………」

李々奈「ん、どうした?」

はるか「さっきの方、魔法少女同士の争いによってエネルギーを生み出すとか、そんな事を仰ってましたわ」

はるか「それと…QB星、とも言っていたような…?」

李々奈「QBだと? それってどういう事だオイ?」

はるか「分かりませんわ…それよりも」 オナカサスリ

李々奈「あー…あたしも腹減ったなぁ。急いで帰るか!」

はるか「ええ、そうですわね」

―――佐倉家


李々奈「たっだいまー」

はるか「只今戻りましたわ」

モモ「おかえりっ♪」

杏子「おぅリリ、遅かったじゃんか…あんたは?」

梅次「魔法少女のはるかさんっていうんだ。帰る場所が無いらしくて家に泊まってもらう事になったんだ」

杏子「ふぅん、そーかい…あたしは杏子。このバカ共の母親さ」

はるか「お世話になりますわ」 ペコリ

李々奈「相変わらず手厳しいなー…」

モモ「みんな揃った事だし、夕飯の用意するね」

杏子「おー。待ちくたびれたよ…で、今日はどんな話をしてくれるんだ?」

李々奈「それがさぁ、さっき妙な奴等が…いや、その前に昼の話を――」



杏子「みずきだとォッ!!?」 ガターン!

モモ李梅はる「「「「!?」」」」 ビクッ

―――キマシタワー


仁美「…話は大体分かりましたわ、イザベルさん」

美咲「まず、記憶を失っている魔法少女を集める事を優先するべきでしょうか?」

QB「妥当だね。こんな事が出来る人物は1人しか居ないだろうけど…」

ほむら「知っている事は全て言いなさい」

QB「…ウルリーケ。それが魔女を作り出した者の名だよ」

3人「「「!?」」」



美咲「魔法少女にそんな歴史があっただなんて…」

ほむら「どうしてそんな事をずっと黙っていたのよ!」

QB「だって聞かれなかったしー?」 キュップイ

ほむら「…」 バンッ

QB「わっ、危ないじゃないか! 今の僕はこのボディしか使えないんだからね!」

ほむら「すっかり忘れていたわ」 ホム

仁美「相変わらずですのね…」
―――美国邸


愛莉歌「お母様、ただいま戻りました…って、まだ帰ってきてませんよね。お母さんもまだですし」

愛莉歌「携帯に連絡は――あれ?」

愛莉歌「無い、無い! お母様から貰った大切なストラップが…」

愛莉歌「『また』無くなってるよぅー!!」 ガガーン

愛莉歌「うぅっ、探さないと…行って来ます!」 ガチャ バタン



???「此処は、何処なのかしら」

???「…まぁ、どうでもいいわね。私は一度『死んだ』はずだもの」

???「にしても…やっぱり暗闇はいつも良いわ。心が安らいで――」

愛莉歌「無いよぅー…一体どこに行ったのかしら…」 ウロウロ

???「…? あなた、何をしているの?」

愛莉歌「あ…あの、携帯のストラップを失くしてしまって…」

???「そうなの…それじゃ、一緒に探してあげるわ」 ククッ

愛莉歌「本当ですか!? ありがとうございますっ!」

???「私はあやめ。あなたは?」

愛莉歌「アリカ、美国愛莉歌です」

あやめ「アリカ…ね。そのストラップはどんな見た目なのかしら?」

愛莉歌「えーっと――」

―――ネットカフェ


???「むー…」 カタカタ

???「恵理香、情報のほうはどうなってるの?」

恵理香「ん。えっと…ここは2032年の見滝原で、魔法少女のことは世間的に認知されてるらしいよっ」 カタカタ

恵理香「未来、アタシ達やっぱりタイムスリップしてるんだよね? 未来が未来世界に…www」 カタカタ

未来「本当にそうなのかしら?何か、引っかかるわね」

恵理香「スルーとか無いわー…えっ、何?」 カタカタ

未来「…このソウルジェムよ。どうして銀色になっているのかしら」

恵理香「んー…さぁ?」 カタカタ

未来「別にあなたに聞いても答えが得られない事なんて分かってたわよ」

恵理香「酷っ!?」 ガーン

―――DBの結界


DB「ここなら魔法少女に見つかる確率はほぼ無い。当分はここが君達の拠点となるね」

かなた「随分とシンプルな内装ですな」

梓麻「家具がソファーとテーブルぐらいしかありませんね…」

DB「要望があるのなら何か出すよ」

かなた「むぅ、せめてテレビぐらいは欲しいですぞ」

DB「確かにそうだね」 ポワッ

梓麻「おお、テレビが!」

RB「貴女も中々に便利なものよね」

DB「君ほどじゃないよ」 デュップイ

RB「私の本体も、準備が出来次第こちらに来させるつもりよ」

DB「君自らが動くというのかい?」

RB「まあ偵察といった所かしら。あまり目立つ行動はしないつもりだけど…」

RB「魔法少女や魔女の力量も測っておきたいのよね」

かなた「先程の魔法少女、新米といえど中々のものでしたなぁ」

梓麻「私は相性が良かったようで、辛くも勝利を収め…」

DB「結構余裕だった気がするんだけどな」

梓麻「そんな事はありません!」 キリッ

かなた「何だかんだ言っても元お嬢様の事を気にしているのですなぁ」

梓麻「むぅ、否定はできませんね…」

―――QB星


???「まものもいっぱいふえたねー…」

???「あのこに、このこに、そのこに、どのこ」

???「どーれーに、しーよーうーかーな?」

???「きめた!」

???「つぎは、あなたたちのばんだよ」

???「あしたはがんばってきてね。きたいしてるんだから」

―――

ウルリーケ「…私の目的は、宇宙の歪みを修復して延命させる事」

ウルリーケ「その為に利用できるものは、全て利用させて貰うわ」

クリームヒルト「あなたは一体、何をする気なの…?」

ウルリーケ「簡単な事…ただ争えばいい。それだけよ」

ウルリーケ「争いは様々な感情を生み出す。勝者には希望が、敗者には絶望が…」

ウルリーケ「二通りものエネルギーを同時に生み出せるのよ。とても素晴らしいでしょう?」

ワルプルギス「アハハッ♪ それはどうかしらね?」

ウルリーケ「…なんですって?」

ワルプルギス「争いなんてロクなもの残さないわよ。他人を蹴落としてまで手に入れた希望なんて、ほんの一瞬の幻に過ぎないわ」

ワルプルギス「それよりも…魔法少女と魔女が仲良くなった世界のほうがよっぽど素敵だと思わない? ウフフッ…」

クリームヒルト「…そうだよ。誰も不幸になんてならない、そのほうがずっと…」

ウルリーケ「…それが正しい選択だとしても、私にはその道を歩む事など出来ないの」

ウルリーケ「私のやってきた事を全て無駄になんてさせるものですか。私は私のやり方で、世界を正してみせる」

ウルリーケ「例えそれが人類を滅ぼす結果となったとしても、そんなもの知った事ではないわ」

クリームヒルト「…そんなの、間違ってるよ…!!」

ワルプルギス「…ふふっ、そう。それがアナタの考えなのね…なら――」


ドゴォッ!!

ウルリーケ「っ」 ゴシャァァッ

クリームヒルト「わ、ワルプルギスの夜…っ!?」

ワルプルギス「やろうと思えばいつでも抜け出せたのだけど、タイミングが掴めなかったのよね!アハハハッ♪」

ウルリーケ「…私の魔力で創り上げた拘束すら壊し抜けるなんて、やはり貴女は『そういう存在』なのね」

ウルリーケ「いいわ、ならば私もそれに応じてあげる」 パァッ…

クリームヒルト「変身した…!」

ウルリーケ「【オレンジ・ジェミニ】…魂を橙で彩る、魔女の双剣」  ジャキッ

ウルリーケ「双子座のキーワードは『I think』。私の考えを、貴女は読めるかしら」

ワルプルギス「ウフフッ…なら、始めましょう。夜は永いわよ?」

 

 

【  魔法少女こるね☆マギカ ―第9話―『素材としては最高級でしょう?』  】


あやめ(夜道なんて、私の魔法にかかればどうという事は無いわ) パァッ

あやめ(見つけた。これが失くしたストラップね…一体なんのマスコットキャラなのかしら?) ヒョイ

あやめ(どことなく『奇跡を起こす純白の遣い』に似てるわね…) ウーン



QB「へっぷきゅぃっ!」 クシュンッ

仁美「あら、風邪ですか?」

QB「うーん。しばらくボディを取り替えてなかったから異常が生じているのかもしれないなぁ」 キュップイ

ほむら「インキュベーターも病死するのかしら?」

QB「縁起でもない事を言わないでおくれよ…」 ズーン

美咲「…私の知っているQBよりも感情が豊かになってませんか?」

ほむら「人間に飼い慣らされた結果よ」 ホム

仁美「ここまで人間臭い生き物も中々いませんわ」

QB「元はといえば君が原因なんだからねっ!?」 キュベガビーン

               ◆


あやめ「探していたのはコレかしら?」 スッ

愛莉歌「あぁっ、私のストラップ!ありがとうございますっ! 本当になんてお礼をすればいいのか…貴女は私の恩人です!」

あやめ「大袈裟ね…礼には及ばないわ」

愛莉歌「いいえ、せめて持て成しぐらいはさせて下さい! そうじゃないと胸の痞えが取れませんっ!」

あやめ「わ、分かったから少し落ち着きなさいよ」

愛莉歌「ごめんなさい…」 シュン

あやめ(…にしても、ここは一体何処なのかしら?)

―――美国邸


キリカ「遅いなぁ愛莉歌…いつもは私より早く帰ってきているのに、どこに行ってるんだ?」


ガチャ


織莉子「ただいま…あぁ、疲れたわ」 クター

キリカ「織莉子!今日は早かったね…って、それよりも大変なんだよ! 愛莉歌がまだ帰ってないんだ!」

織莉子「なんですって…!? キリカ、今すぐ探しに行きましょう!」 シャキーン

キリカ「承知さ!」 キリッ

愛莉歌「お母様もお母さんも過保護すぎるんですよねぇ。私に問題があるのも確かなのですけど…」 ペラペラ

あやめ(…女同士で子供が出来るなんて末恐ろしいわ。というか『お母様』と『お母さん』という呼び分けってどうなのよ…?)

織莉子「愛莉歌!」 ザッ

愛莉歌「お母様? それにお母さんまで…」

キリカ「全く、探したんだから――って」

あやめ「…?」

キリカ「あ、あの、織莉子…」 ヒソヒソ

織莉子「…ええ、幽霊ではなさそうだけど…」 ヒソヒソ

愛莉歌「この人は私の恩人なんです。 ですからお食事に誘いました!」 ウデクミ

あやめ「まぁ、そういう事…なのかしら?」 ウデクマレ

織莉子「」

キリカ「」

愛莉歌「あ、あれー…?」

あやめ(一家揃って、一体何なのかしら…) ハァ

―――佐倉家


杏子「仁美には明日休むって伝えといてくれよっ!」 ダッ バタン

李々奈「ちょ、ちょっと!母さん!?」

梅次「忙しない人だな、全く」 フゥ

はるか「何が何やら分かりませんわ…」

李々奈「にしても母さんは、みずきって奴と知り合いだったのか…?」

梅次「……」 チラッ

梅次(そういえばリリは、まだ…)

はるか「…? 梅次さん、どうしました?」

梅次「ん、いや。何でもないよ」

―――


琴美「破ッ!!」 ドゴォッ

琴美「…まだまだ、ですわ。これではお母様の足元にも及びません…」

???「へぇー、頑張ってるじゃん。琴美」

琴美「あ…さやかさん」

さやか「あたしだって何時までもショゲてらんないね。エリーやマリアが居ないからってブルーになりまくってたけど…」

琴美「もう、具合はよろしいのですか?」

さやか「さやかさんは落ち込むのも立ち直るのも早いのだよ!」 フフン

琴美「…それなら、よろしいのですけど」

さやか「あ、あと恭介を取られた件についてももう気にしてないからね!? ホントホント!!」 ワタワタ

琴美(や、やっぱりそちらは未だに引きずっていますのね…)

さやか「それよりも、さ。琴美に聞きたい事があるんだ」

琴美「…?」

さやか「琴美は、なんで…魔法少女になっちゃったのよ?」

さやか「あんたの場合、ただ戦う為に契約したようなものじゃない…」

琴美「…確かに私の願いは、命を代価にしてでも叶える願いでは無かったかもしれません」

琴美「魔獣や魔物の手から人々をお守りする正義の味方。そんなお母様に、憧れを抱いていたのも理由の1つですが…」

琴美「一番の理由は、自分自身を変えたかったからだと思います」

さやか「はぁ……よくもまあ、そんなんで魔法少女になったもんだねぇ。 まっ、あたしも人の事言えないけどさ?」

琴美「や、やっぱり…お父様の腕を治したのに、お母様と結婚された事について気にして…」

さやか「それを言うなってば! もう恭介の事は諦めてるの!離婚しない限りはッ!」

琴美「そ、そんなっ…恐ろしいですわーっ!」 アワワ

さやか「あっははww 冗談、じょーだん♪」 ケラケラ

琴美(目が本気ですわよぉ…) フルフル

―――アルスィオネ


???「おかえりー♪ おそばにする?ぱすたにする? それとも、う・ど・ん?」

梓麻「うぅ…は、吐き気がします…」 ヨロヨロ

かなた「ま、毎度思うが、これは一体どういう魔法なんじゃろうか…?」 ウップ

???「むしするなんてひどいよー!」


「あー身体がウズウズするぅ! 殺す殺す殺すっ!魔法少女マジ殺すっ!」 ダンッダンッ

   「え、えっと、おねーちゃん…殺すのはダメって言われたよね? ちょっとは落ち着いてよぉ…」 オドオド


梓麻「…失礼伺いますが、こちらのお二方は何方でしょうか?」

???「あー、えっとね。そのふたりはね…」


ジェニファー「ついでにあたしの生みの親とかいうエリーって奴も一発ブン殴ってやんよー! ヒャッハー!」 シュバババ

ダニエル「お、おねーちゃん、やめとこうよぉ…魔女なんて絶対おっかないよ、ぼくたち死んじゃうよぉ…」 ウルウル


かなた「な、なんなのじゃ、こやつ等は…?」 ウムゥ

???「きにしたらまけかなーとおもってる!」 テヘッ

梓麻「先が思い遣られますね…」

―――


ワルプルギス「アハハ! やるわねアナタ…まだお互い、一度も傷を付けられないなんて!」 ヒュンッ

ウルリーケ「"2人を相手にして"いるのに喋っている余裕があるのね。流石だわ」

ワルプルギス「ウフフッ♪ お褒めに預かりまし…てッ!」 ギュンッ 


クリームヒルト(さっきまで、あのウルリーケっていう人…ただでさえ相当の剣捌きだったけど)

クリームヒルト(あれも魔法なのかな…? まるで、見えない誰かが剣を扱っているみたい…)


ワルプルギス「あぁ、なんて楽しいのかしら!まるで舞台劇! 悪の根源との決戦みたいね。アッハハハハ!」 ガキンッ

ウルリーケ「悪なんてものはどこにも居ない…在るのは、たった2人の役者だけよ」 ヒュン ズァァッ

ワルプルギス「なら、この舞台から落ちるのはどちらかしら? まぁ、ワタシが負ける事なんて無いのだけどねッ!」

ウルリーケ「そう。貴女は永遠に舞台から降りられない――終る事の無いステージで、ずっと踊り続けるがいいわ」

―――見滝原


RB「まぁ…このステージには、いずれ幕を下ろす時がくるでしょうけどね」

DB「? 誰に向かって話しているんだ?」

RB「何でもないわ。 それよりも…随分と増えたものね、魔法少女は」

DB「かつては街1つに1人居る程度だったらしいけど、今となっては一種の職業のような扱いをされているんじゃないかな」

RB「所詮は数が多いだけで、一人一人の質はそれほどでもないのでしょう?それよりも…」

DB「鹿目、ほのか…だね」

RB「…時間遡行者と、神に等しい素質を持つ人間の子よ。素材としては最高級でしょう?」

DB「あの2人が親となると、契約にありつくなんてほぼ不可能だと思うけどなぁ」

RB「ええ。"契約するのは"難しいでしょうね」

DB「それに何か別の要因が…恐らく、奇跡による力が働いている。そうとしか思えないじゃないか」

RB「あら、暫く離れていたにも関わらず随分と知っているのね。事情通ですとでも自慢したいのかしら」

DB「一応言うが、私は知的生命体の"模倣品"だからね。そういう事は予め調べてあるのさ」 デュップイ

RB「そう。 期待はしていないけど、頑張って頂戴」

DB「…ああ。全て私に任せるといいよ」 フッ

 


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編集中って言うか・・・・・・まだ投下されてないし・・・・・・続く

 

 

 

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